胸打つ深い愛の物語
『月の満ち欠け』佐藤正午
2017年の直木賞受賞作。
ほんの数ページでスッと惹き込まれる文章センス。
一文一文が伏線のように感じられて、どう繋がるんだろうなとワクワクしながら一気に読めます。
ファンタジーではあるけれど、
もしかしたらこんなことあるかもしれないな
と思えてくるなら
きっと、愛する人が頭に浮かんでいるのでしょう。
小学二年生の娘が急に "おとなびる"
クマの縫いぐるみをアキラくんと呼び、教えてもいない昔の流行歌を歌い、デュポンのライターを知っていて、思慮深い目をするようになった。
七歳のふつうの女の子を装って、演技しているのではないか?
ある日、娘はひとりで電車に乗って
高田馬場のレンタルビデオ屋へと向かった──。
月が満ちて欠けるように、生と死を繰り返す。
何回死んでも生まれ変わってあなたの前に現れる。
"瑠璃も玻璃も照らせば光る"
つまらぬものの中に混じっていても、すぐれたものは光を当てれば輝いてすぐにわかる。
生まれ変わっても
あなたのことはすぐにわかるよ
"感動のファンタジーラブストーリー"
なんて言うには軽すぎる
胸打つ深い愛の物語。
映画版もぜひ。
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